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「好き」を世界に届く教材へ――全国から選抜された中高生6名が壱岐島で挑んだ2日間の探究「PEACE CAMP 2026」

「好き」を世界に届く教材へ――全国から選抜された中高生6名が壱岐島で挑んだ2日間の探究「PEACE CAMP 2026」

特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト(代表:中村雄一/千葉県松戸市)は、2026年10月17日(土)・18日(日)、長崎県壱岐市の「壱岐出会いの村」で「世界とつながる夢探究アカデミー 壱岐島 PEACE CAMP 2026」を開催した。日本全国から選抜された6名の中高生が参加し、壱岐の食、シリアの暮らし、海洋プラスチック、ウクライナで続く戦争、平和なまちづくりといった複数のテーマを体験した。参加者はそれらを自分の興味や得意なことと結びつけ、最終的に「自分が世界に届けられる教材」として形にした。

完成した成果物は、ウクライナの野菜をアニメのキャラクターとして表現した教材、スケートボードを実演して伝える動画、言葉や笑いを届ける漫才動画、地元・山形県の芋煮やラーメンを紹介するスライドなど、テーマも表現方法も一人ひとり異なる。共通しているのは、「世界のために特別なことをしなければならない」と考えるのではなく、すでに持っている「好き」「得意」「経験」を、誰かに届く形へと変えた点だ。

なかよし探究BOOK
なかよし探究BOOK

独自教材「なかよし探究BOOK」で、知識を行動へつなげる

今回のCAMPが大きな目標に掲げたのは、世界の社会課題を学ぶことにとどまらず、参加者自身の興味や得意を生かして、実際に世界へ届ける教材をつくることだった。その土台として使われたのが、なかよし学園が独自に開発した探究学習教材「なかよし探究BOOK」である。同教材は、なかよし学園が世界各国で行ってきた教育支援や平和構築活動を題材としており、紛争、貧困、教育格差、環境問題などを学んだうえで、「自分には何ができるだろう」「自分の好きなことは誰かの役に立つだろうか」という問いを通じて、具体的な行動へ進めるように構成されている。

プログラムは自己紹介から始まり、参加者は互いの興味や関心、得意なことを共有した。その後、ウクライナとの平和サミットや食育、環境学習、グループワークなどを通じて世界の現実に触れながら、探究BOOKを使って自分にできることを具体化していった。全員が同じ社会課題に取り組むのではなく、それぞれの個性や経験を出発点にしている点が特徴だ。個人探究と並行して、集団で一つの教材をつくるワークも実施された。ひとつは「世界に喜びを届けるガシャポン」で、カプセルを開く瞬間の楽しさを国や言葉を越えて共有できる教材として考え、中に何を入れれば相手が笑顔になるのか、どのように伝えれば遊びが学びになるのかを話し合った。もうひとつは、世界の教育現場で実装する「マジックシアター」で、見せ方、驚き、物語、参加の仕掛けを仲間と考え、「自分が面白い」だけでなく「相手にどう伝わるか」という視点で教材をつくった。個人のアイデアを出し合い、役割を分担し、一つの体験を完成させる過程も、世界で協働するための実践的な学びとなった。

なかよし探究BOOK
なかよし探究BOOK

食、海、戦争――多様なテーマを体と対話で学ぶ

壱岐の「おいしい」から世界の食を考える

壱岐市となかよし学園は2024年にエンゲージメントパートナー協定を結び、地域資源を生かしたSDGs・国際教育支援を進めてきた。その代表例が、壱岐の児童生徒、まちづくり協議会、地域事業者らと始めた「なかよしふりかけ」で、東ティモールや南スーダンなどへ届けられている。CAMPでは参加者が壱岐米や壱岐の魚を調理し、なかよしふりかけの試食会を実施。さらに、なかよし学園水戸支部と連携する食育プロジェクト「なかよしラーメン」も調理し、シリアの現状や、食べることが日常と安心にどうつながっているのかを学びながら同じ食卓を囲んだ。参加者は、支援物資として食を考えるだけでなく、自分の地域の食文化を世界に伝えることも国際交流になると体験した。

海洋プラスチックを平和教育の道具に変える「なかよしアルティメット」

「なかよしアルティメット」は、長崎県対馬市が抱える深刻な海洋プラスチック問題を出発点とした、環境・スポーツ・平和教育プログラムだ。なかよし学園は、対馬市立対馬西部中学校の生徒が制作した海洋プラスチック問題の教材を世界各国へ届けるとともに、Dolphin Papa合同会社(代表:森脇崇氏)が開発した再生素材のフライングディスクを使った活動を進めてきた。2026年6月にはオイスカ浜松国際高校でリーダー研修会を開き、高校生が平和へのメッセージを記入したディスクは、同校の鈴木哲子教諭によってルワンダへ届けられ、現地の授業で活用された。活動は南スーダン、カンボジア、ケニア、ネパールなどにも広がっている。原則として審判を置かず、話し合いで意見の違いを解決し、パスをつながなければ前へ進めないこの競技の特徴を、なかよし学園は「一人でかなえられない夢は、仲間とかなえる」というメッセージにつなげている。今回のCAMPでも参加者は再生素材のディスクを投げてアルティメットを体験し、壱岐市内では海洋プラスチックの実態を視察した。

ウクライナ平和サミットと「未来のまちづくり」

重要なプログラムとして、ウクライナ人のコロペンコ・マリヤさんを招いた「ウクライナ平和サミット」が、会場とオンラインをつなぐハイブリッド形式で一般公開された。なかよし学園は2026年9月に実施したウクライナ平和教育プロジェクトの成果として、キーウやリビウで見てきた戦争下の日常や現地の学校での授業を報告。九州大学で学ぶマリヤさんは、戦時下で日本語を学ぶウクライナの高校生を日本へ招く短期留学・文化交流活動に取り組んできた人物だ。質疑応答では「ウクライナでスケートボードは盛んですか?」「ウクライナに日本のアニメはありますか?」といった質問が寄せられ、サミット後の個人ワークでは、ウクライナの野菜をアニメのキャラクターとして擬人化する教材や、スケートボードの技術を紹介する実演動画などが制作された。続いて行われた「なかよし鉄道・未来のまちづくり」は、なかよし学園が2026年9月にキーウとリビウで実装したプログラムで、Nゲージを走らせながら交通、教育、医療、防災、自然、共生などの視点から未来のまちを考えるもの。参加者は活動報告を受けたうえで、自分たちが暮らしたい理想のまちを制作した。

なかよし探究BOOK
なかよし探究BOOK

成果物は海外の教育現場へ、そして全国の学校へ

今回の成果物は、なかよし学園が進める「世界まなびあいプロジェクト」の中で、今後活動する世界各国の学校・教育現場へ持ち込まれ、実際の授業や交流で活用される。現地で生まれた感想や反応、新しいアイデアは参加者へ返され、必要に応じて教材を直し、もう一度届ける。この循環を、なかよし学園は「教えあい・学びあいリレー」として発展させていく方針だ。あわせて、CAMPの実績と成果物を全国の学校へ紹介し、参加メンバーの在籍校に限らず「中高生が実際に起こしたACTION事例」として共有することで、「世界の課題を知ったあと、自分なら何ができるか」を考える授業へつなげていくという。海外で教材を使った際の写真や動画、現地の子どもたちの声も参加者に返し、振り返りの材料とする。

代表の中村雄一氏は、「今回このPEACE CAMPで一番大事にしたのは、世界の問題を『かわいそう』で終わらせないことです」とコメント。「平和教育は、知識を覚えるだけでは完成しません。知ったことを、自分にできる形で誰かに返したとき、初めて自分と世界がつながります」と述べ、教えあい・学びあいの往復を続けることで「自分にも世界に働きかけられる」という実感を育てたいとしている。なお本事業は、ロート製薬株式会社と特定非営利活動法人ピースウィンズ・ジャパンが連携して実施する「ロート子どもの夢基金」の第3回助成採択事業であり、なかよし学園は本助成を活用して、教材の海外実装、現地からのフィードバック、振り返り、次の行動まで継続して伴走していく。

  • 名称:世界とつながる夢探究アカデミー 壱岐島 PEACE CAMP 2026
  • 日程:2026年10月17日(土)~18日(日)
  • 会場:壱岐出会いの村(長崎県壱岐市)
  • 主催:特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト
  • 助成:ロート子どもの夢基金

出典:特定非営利活動法人なかよし学園プロジェクト