「研究だけ知っていてもあまり役に立たない」岡山大学、研究開発マネジメント人材の研修提供に向けたサイトビジットを実施

国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)は、文部科学省「研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業」(実施主体:日本学術振興会)の一環として、研修提供機関としてのサイトビジットを実施しました。この取り組みは2026年10月23日に公開されています。岡山大学は、URA(研究開発マネジメント人材)を「大学法人経営を担うマネジメント人材」として育成してきた実績を持つ大学です。

文科省・JSPS関係者や他大学、PMIも参加
サイトビジットには、文部科学省と日本学術振興会(JSPS)の関係者が来学しました。本事業の大野英男プログラムディレクター(PD)、金田安史プログラムオフィサー(PO)、向智里プログラムオフィサー(PO)も参加しています。さらに、同じく本事業の研修提供機関である信州大学と大阪大学からも関係者が出席しました。岡山大学の事業連携機関である一般社団法人PMI日本支部(事務局:東京都中央区、浦田有佳里会長)とPMIアジアパシフィックの関係者も加わりました。PMI日本支部は、世界最大のプロジェクトマネジメント協会であるProject Management Institute(PMI)の日本における支部です。
冒頭ではJSPSが事業の趣旨を説明し、PDとPOが事業への期待と研究開発マネジメント人材育成の重要性について話しました。続いて那須学長があいさつに立ちました。学長は、本事業を通じて岡山大学だけでなく、日本の大学全体の研究力・経営力の向上に貢献したいとの考えを示しました。あわせて、研究開発マネジメント人材の育成への期待と今後の展望を述べています。

「支援」と「管理」を分けたURA育成と、OJT中心の研修
岡山大学の取り組みと研修メニュー
事業責任者の佐藤法仁副理事(研究・産学共創総括担当)・副学長(学事担当)・上級URAは、岡山大学の取り組み状況を説明しました。受け入れ予定の派遣元大学との協議状況に加え、本事業に参画する機関との意見交換を生かした研修メニュー等についても紹介しています。岡山大学は、URAの役割を支援(サポート)と管理(マネジメント)に明確に分けています。そのうえで、「大学法人経営を担うマネジメント人材」として我が国初として育成してきました。説明では、この実績のほか、研究IRの活用、産学連携体制の強化、プロジェクトマネジメント能力の向上に向けた取り組みなどが取り上げられました。
今後受け入れる研修生には、OJTを中心とした実践的な研修を提供します。大学法人経営に関する知識やスキルの習得を支える体制についても説明がありました。また、松本匡史研究IR統括・主任URAと小林健輔URAは、研究IR業務を支援するAIエージェントの開発・運用状況を紹介しました。研究データの活用やナレッジ共有、人材育成への応用可能性についても説明しています。
意見交換と現場視察
意見交換では、研修参加者が所属機関に戻った後に学びを実践できる環境を整えることの重要性が議論されました。大学執行部を含め、研究開発マネジメント人材の運用に関する意識改革・醸成が必要だという点でも活発なやり取りがありました。PD・POからは、全学体制でURA等が一体となった岡山大学の推進体制と、大学法人経営に関する実践的な研修プログラムに対して、高い評価と期待が寄せられました。
その後、参加者は津島キャンパスの本部棟執務室と共創イノベーションラボ(KIBINOVE)を視察しました。研修生受け入れに向けた施設を確認するとともに、岡山大学の研究マネジメント・産学連携体制や人材育成環境への理解を深めました。
岡山大学は、文部科学省「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」の採択大学として、挑戦的な組織・制度改革をさまざまに進めています。研修メニューには、こうした変革に直接触れられる内容をそろえています。同大学は、研修生をお客さん扱いせず、教職員と共に新しい学問の府を築く挑戦者として迎える方針を示しています。

学長と事業責任者が語る「全学の仕事」としての人材育成
那須学長は、本事業を「研究部署の仕事」ではなく「全学の仕事」であり、かつチャンスだと捉えています。そのためサイトビジットには全学体制で臨み、組織の責任者である学長も当然のこととして当事者として参加しました。学長はチャンスの意味について、本事業を生かして経営人材の育成強化や研修体制の全学統一など、さまざまな改革や新たなサービス等に波及させられる点を挙げています。さらに、日本全体を変えていける大きな波を形成できる事業だと考えていると述べました。
佐藤副理事・副学長・上級URAは、研究開発マネジメント人材は研究のことだけを知っていてもあまり役に立たないと感じていると語っています。自身がURAとして入職し、マネジメントに携わる中で、大学法人全体の成り立ちや仕組みを十分に理解していなければ研究開発マネジメントはできないと体感したといいます。こうした経験から、本事業では一見すると研究開発マネジメント人材に関係しないような研修メニューも整えています。一方で、人材の定着には大学執行部や組織の変化も強く求められると指摘しました。派遣元大学に戻った人材も、組織が旧態依然とし、教員中心の思考・行動のままであれば「無に帰してしまう」と考えているといいます。そのうえで、岡山大学だけでなく派遣元大学にも大学改革を強化推進する責務があると述べています。今後は、大学にとどまらず日本の研究開発マネジメントを担える人材を共に育成・活用していきたいとしています。
出典:国立大学法人岡山大学











