エンゲージメントサーベイの結果を職場の対話へ――3ステップで変化を生む実践ガイドを公開

結論
エンゲージメントサーベイの結果を「問い」として職場へ返し、3か月で具体的な行動へつなぐことが、組織の活力を高める最短の道筋である。
根拠
エンゲージメントサーベイは多くの企業に広がる一方、導入後に「スコアは出たが次の手が分からない」という課題が寄せられるケースが目立つ。2026年5月に株式会社アジャイルHRが発表した全国約1万人の調査では、会社の制度や取り組みから得られる「働く活力の源」の評価が、20代以下の2.76から30代では2.32へと0.44ポイント下がり、「30代の孤立」として警鐘が鳴った。
当社が研修で関わる企業でも、新入社員研修や管理職研修は充実している一方、管理職前の30代には会社とつながる場が不足しているケースが多い。
この背景を踏まえ、アンケートが職場の変化につながらない最大の原因は「スコアをどの部署で、誰と、何を話すか」という工程が欠けていることだと考える。今回のガイドは、その工程を具体的に3ステップへ落とし込んだ。
出典:アジャイルHR「2026年版 第4回 全国1万人従業員エンゲージメント調査」(2026年5月13日発表)。調査期間:2026年3月16日〜23日、対象:全国の15〜79歳の男女10,576人、インターネット調査。
「特になし」は満足のサインではない
自由記述欄の量と具体性を最初に見るべきポイントとして挙げる。取り組みが効き始める職場では、点数の上昇よりもコメント量が増える。漠然とした不満も、具体的な提案へと転換するケースが多い。逆に、記述が減ったり「特にありません」「特になし」が増えたりしたときは要注意。満足の表れではなく、書いても何も変わらないというあきらめが職場に広がっているサインであり、前年に結果を返しただけで何もしなかった職場で特に見られる現象である。
結果が活かされない「5つのつまずき」
アンケート結果が職場の変化につながらない原因は、ほぼ以下の5つに集約される。
| つまずき | 職場で起きていること | 抜け出す方向 |
|---|---|---|
| 1. 全社平均だけを見ている | 数字が「誰の課題でもない」ものになる | 部署別・年代別に分け、最も低い単位を見つける |
| 2. 全項目を一度に上げようとする | 取り組みが10個並び、どれも中途半端に終わる | 今年動かす項目を1つに絞る |
| 3. 自由記述を読んでいない | コメントが報告書の中に眠ったままになる | 内容を分類し、点数より先に表れる変化を拾う |
| 4. 現場に「結果」だけを返している | 部門長が責められたと受け止め、犯人探しの空気になる | 結果ではなく「問い」を返し、解釈を現場と一緒につくる |
| 5. 効果を次回のアンケートでしか測らない | 1年待つ間に熱が冷める | 3か月で変わる行動の指標を別に持つ |
とくに多いのは1と4。4は人事部門の善意から起きやすく、結果をそのまま返しても受け取る側には「あなたの部署が低い」という通知として伝わり、翌年の回答が歪むリスクがある。
スコアの次にやる3ステップ――「絞る」「読む」「場をつくる」
結果が出てから最初の1か月でやるべきことは3つだけ。順番を入れ替えないことが肝要である。
- 絞る:今年動かす項目を1つ、対象を1部署(または1階層)に決める。基準は「最も低い項目」ではなく「最も低く、かつ人事や職場の取り組みで動かせる項目」。給与水準や事業の将来性のように研修や対話で動かせないテーマを選ぶと、1年後に「やはり変わらなかった」という結論だけが残る。
- 読む:対象部署の自由記述を、集計せずに「人間関係」「仕事そのもの」「制度」の3つに分けて読む。研修や対話で扱えるのは前者の2つ、制度の問題は制度の担当者へ渡す。
- 場をつくる:対象部署に対話の場を設ける。現場に返すのは「結果」ではなく「問い」。
「相互理解の項目が2.1でした」と伝えるのではなく、「お互いのことをどれくらい知っているか。一度話してみませんか」と誘う。前者は評価、後者は招待である。
当社の研修現場でも、対象を絞って実施した企業ほど翌年に他部署へ展開している。
効果は3か月後に「行動」で確かめる
次のアンケートまで1年を待つと、途中で軌道修正ができなくなる。3か月で変化が表れる指標を、取り組み開始前に決めておくことを推奨する。特別なツールは不要。
- 会議での発言の偏り:同じ会議で、発言が特定の2〜3人に集中していた状態が崩れているか
- 部下からの相談件数:上司からの呼び出しではなく、部下から持ちかけられた相談だけを数える
- 自由記述の量と具体性:点数より先に動くため、途中経過の指標になる
例えば「スコアが0.2上がった」という報告よりも「部長会で発言する人が4人から9人に増えた」という報告のほうが、経営層へ変化を伝えやすくなる。
研修参加者83名のアンケート結果
当社が2026年3〜7月に実施したレゴ®シリアスプレイ®研修4件の参加者アンケート(回答83名、各設問5点満点)の結果は次のとおり。
| 設問 | 平均点(5点満点) | 「4」以上の割合 |
|---|---|---|
| 講師の進行の分かりやすさ | 4.67 | 95% |
| 研修全体の満足度 | 4.51 | 92% |
| 新しい気づき・学びがあったか | 4.33 | 87% |
| 日頃の業務に活かせそうか | 4.11 | 72% |
| レゴ®ブロックで自分の考えを表現しやすくなったか | 3.78 | 64% |
唯一4点を下回ったのは「レゴ®ブロックで表現しやすくなったか」(3.78)で、最も高い「進行の分かりやすさ」(4.67)との差は0.89ポイント。4以上の割合では31ポイントの差がある。同じ83名が全設問に答えたデータから、満足を生むのは道具の使いこなしより“問いの立て方と進行設計”であると結論づけられる。
この数値は不利にも見えるが、ガイドではあえて掲載している。優れたツールを導入しても職場が変わるとは限らず、データをもとに「誰と、どんな問いで、どんな順番で話すか」を設計した職場が変わるという信念に基づく。4件のうち1件は「表現しやすさ」が4.29で4点を上回っており、参加者構成や事前の設計次第で結果は変わる。
代表取締役 森琢也のコメント
「エンゲージメントサーベイは職場の現状を測る道具であり、次の一手を教える道具ではない。低いスコアをそのまま現場へ返せば『あなたの部署が低い』という通知として届き、翌年は『特になし』が増える。数字を『どの部署で、誰と、何を話すか』に置き換え、結果ではなく問いを返すことが肝要だ。当社は『いま、ワクワク働く大人を増やす』を掲げ、アンケートの声が対話へとつながる職場を一社でも多く増やしたいと考える。」
公開記事の概要
- 記事名:エンゲージメントサーベイの活用法【2026年版】――スコアの次にやる3つのこと
- 公開日:2026年8月31日
- 掲載先:株式会社クック・ビジネスラボ公式サイト
- URL:https://cookbizlabo.com/blog/20260831-1359/
- 主な内容:結果が活かされない5つのつまずき/スコアの次にやる3ステップ/自由記述の読み方/対話の場で避けたい3つのやり方/3か月後の効果の測り方/外部に依頼するときの判断軸と費用の目安/よくある質問(12問)
サーベイ後の「対話の場」づくりを支援する研修について
当社の研修は、レゴ®ブロックで考えを形にし、その作品をもとに対話を深めるワークショップ形式。つくった作品を囲んで話すため、発言が役職順に偏りにくく、批判が人ではなく作品に向かいやすいのが特長です。毎回60分程度の事前ヒアリングを行い、参加者に投げかける問いの言葉まで企業ごとに設計しています。
| プラン | 人数・時間の目安 | 料金(税別) |
|---|---|---|
| 最小構成 | 10名前後・2〜3時間 | 200,000円〜 |
| 半日プログラム | 20名前後・3〜4時間 | 300,000〜350,000円程度 |
| 1日プログラム | 20名前後・6〜7時間 | 400,000〜450,000円程度 |
| オンライン体験会 | 約2時間 | 1人5,000円 |
教材の送料は別途、首都圏以外での実施は交通費・宿泊費を実費で申し受けます。お問い合わせから実施までは通常2〜4週間です。詳細は研修の内容・料金ページをご覧ください。
【会社概要】
会社名:株式会社クック・ビジネスラボ
代表者:代表取締役 森琢也(中小企業診断士/レゴ®シリアスプレイ®認定ファシリテーター)
事業内容:企業向けチームビルディング研修、組織開発、経営コンサルティング
サービス:レゴ®シリアスプレイ®メソッドを用いた対話型研修。新入社員研修、管理職研修、全社会議・キックオフの参加型設計、内定者フォローなどに対応
実績:三菱商事・AWS・PwCをはじめ導入100社以上、累計受講者6,000名以上。リピート率約80%
代表プロフィール 森琢也(もり・たくや)。中小企業診断士/レゴ®シリアスプレイ®認定ファシリテーター。トヨタ系大手自動車部品メーカー(デンソー)で約10年、経営企画・事業企画に従事。講師歴15年以上、累計100社以上・6,000名超の研修を担当。
──────────────────────────────
LEGO®、レゴ®、SERIOUS PLAY®、シリアスプレイ®は、LEGO Groupの商標です。本リリースはLEGO Groupが認証・後援するものではありません。
出典:社員アンケートの「特になし」は満足のサインではない――結果を“職場の対話”に変える3ステップを公開/株式会社クック・ビジネスラボ/2026年9月28日













