AI時代の教育はどうあるべき? 人間中心で公平な教育システム構築に向けた国際共同研究ロードマップを発表

【ポイント】
・18か国70名の専門家によるデルファイ※1調査を実施し、AI活用教育における5つの優先課題(AIリテラシー、自動評価とフィードバック、教員の役割の進化、信頼性と説明可能性、公平なアクセス)を特定した。
・AI導入を単なる技術的導入にとどめず、学習者・教育者・政策立案者・インフラ・倫理を取り巻く総合的な「教育エコシステム※2」として統合・協働する必要性を提唱した。
・AIを教員の代替ではなく、教員を支え学習者を支援するツールとして位置づけ、人間中心で持続可能な教育のあり方を提示。今後は実践的な検証と社会実装を目指す。
(概要説明)
熊本大学半導体・デジタル研究教育機構(REISI)のRwitajit MAJUMDAR(リトジット・マジュンダール)准教授が率いる国際研究チームは、教育現場におけるAI(人工知能)の責任ある統合に向けた包括的なロードマップを発表しました。近年、AIが教育現場に急速に広がる一方、教育格差の拡大や倫理面の懸念が高まっており、公平で責任あるAI活用の道筋を示すことが求められています。本研究は日本、ドイツ、アイルランド、オーストラリア、オランダ、フィンランドの研究者による国際共同研究として実施され、学術界、教育現場、産業界、行政の専門家70名が調査に参加しました。その結果、AI時代の教育システムを推進するための最重要課題と、政策・研究・実践が一体となって取り組むべき具体的戦略を明らかにしました。今後、本研究成果が、各国の教育政策や教育現場でのAI活用の指針として役立つことが期待されます。本研究成果は、国際的な学術誌『Computers & Education Open』(2026年7月20日付)に掲載されました。また、本研究は、JSPS科研費 国際共同研究加速基金(海外連携研究)24KK0051の支援を受けて実施されたものです。
(説明)
[成果]
本研究は、AIの導入を「技術的問題」ではなく「総合的な教育エコシステムの変革」として捉える必要性を明確にしました。教育エコシステムを構成する政策立案者、研究者、教育実践者が緊密に連携し、人間中心の教育観、倫理的ガバナンス、教育的イノベーションを軸にAIを活用するための具体的方針(図1)を提示しました。
[展開]
今後は、本研究で示された6つの戦略的ドメイン(社会の理解と協働、マルチモーダルデータと責任ある利用、インクルージョンと公平性、ビジョンの共有と役割の変化、許容可能で透明性の高いAI利用、生涯学習と能力構築)に基づき、各ステークホルダーが連携した実践的フレームワークの検証と社会実装を進めていきます。
[用語解説]
※ 1 デルファイ調査(Delphi study): 多数の専門家に意見調査を複数回繰り返し行うことで、専門家間の合意や予測を形成する質的・量的調査手法。
※ 2 教育エコシステム: 学習者、教員、教育機関、データ、インフラ、政策、地域社会など、教育を取り巻く多様な要素が相互に影響し合う総合的なシステム概念。
(論文情報)
論文名: Fostering collaborative futures: Multidisciplinary approaches to AI integration in educational ecosystems
著者: Rwitajit Majumdar*, Dirk Ifenthaler, Clara Schumacher, Enda Donlon, Hsiao-Ping Hsu, Jason Zagami, Maaike Heitink, Wolfgang Mueller (*責任著者)
掲載誌: Computers & Education Open
doi: 10.1016/j.caeo.2026.100405
URL:https://doi.org/10.1016/j.caeo.2026.100405
【詳細】プレスリリース(630KB)
※添付図や詳細は上記『プレスリリース』のPDFよりご確認ください。
【お問い合わせ先】
熊本大学半導体・デジタル研究教育機構教授システム学専攻
担当:マジュンダール リトジット
電話:096-342-2895
e-mail:majumdar[at]kumamoto-u.ac.jp
(迷惑メール対策のため@を[at]に置き換えております)
本記事は、国立大学法人熊本大学が2026年10月28日にPR TIMESで発表したプレスリリースを原文のまま掲載しています。
元のリリース:AI時代の教育はどうあるべき? 人間中心で公平な教育システム構築に向けた国際共同研究ロードマップを発表












