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新1年生44名全員の「気質」を入学前に把握し、学級編成に活用 伊丹市立摂陽小学校でIGS「First GROW」の実証事業

新1年生44名全員の「気質」を入学前に把握し、学級編成に活用 伊丹市立摂陽小学校でIGS「First GROW」の実証事業

Institution for a Global Society株式会社(IGS)は、子どもの気質を保護者アンケートで可視化するサービス「First GROW(ファースト・グロー)」を、伊丹市立摂陽小学校での実証事業に提供しました。ここでいう気質とは、変化しづらい特性のことです。同校では、2026年4月に入学した新1年生44名全員の気質データを入学前に取得・分析し、学級編成会議や担任への引き継ぎに活用しました。2026年8月に開催された気質理解研修では、参加した教育関係者の100%が「家庭から得られる情報は、入学後の関わり方や保護者との面談・連携にも役立つと感じた」に肯定的に回答しています。

スマートフォンからはこちらをご利用ください:【校長インタビュー】気質データで変わる新1年生の学級編成|保護者視点と教員の経験を活かした学校づくり(YouTubeへ)
スマートフォンからはこちらをご利用ください:【校長インタビュー】気質データで変わる新1年生の学級編成|保護者視点と教員の経験を活かした学校づくり(YouTubeへ)

「小1プロブレム」と、新1年生の学級編成という難題

遊びが中心だった就学前の生活から、授業や集団行動を前提とする小学校生活への移行は、子どもにとって大きな変化です。この移行がうまくいかず、「集団行動がとれない」「授業中座っていられない」「話を聞かない」といった状態が数か月にわたって続く現象は「小1プロブレム」と呼ばれ、教育現場で長年の課題とされてきました。文部科学省は5歳児から小学校1年生までの2年間を「架け橋期」と位置づけ、2022年度から「幼保小の架け橋プログラム」を通じて、幼児教育と小学校教育の円滑な接続に向けた全国的な体制整備を進めています。

この接続の要となる場面の一つが、新1年生の学級編成です。編成は、幼稚園・保育所等から引き継がれる要録に加え、口頭での申し送りや紙の資料、先生方の知見や経験をもとに行われています。ただ、新1年生は複数の園から入学してくるため、伝わる情報の量や観点は園ごとにばらつきがあります。引き継ぎに関わった先生が年度替わりに異動することもあり、学年や学級全体の傾向をつかんだうえで編成するのは簡単ではありません。教育現場からは、十分に検討して編成しても、入学後に学級ごとの雰囲気や子どもの特性に偏りが生じることがあるという声が聞かれます。

この課題への対応として、入学後の約1か月を仮の学級(プレクラス)で過ごし、子どもの様子を観察したうえで5月に正式な学級を編成する動きもあります。東京都港区は2025年4月から全区立小学校でプレクラス制度を導入しており、川崎市の一部の小学校などでも同様の取り組みが進められています。

▲「First GROW」学校向けサマリー(サンプル)
▲「First GROW」学校向けサマリー(サンプル)

保護者の回答で気質を測る「First GROW」の仕組み

「First GROW」は、保護者アンケートで得た子どもの気質データを判断材料に加えるサービスで、2025年7月に提供が始まりました。保護者はスマートフォン・タブレット・PCから35問・約5分のアンケートに回答します。尺度には、国際的に広く用いられている気質質問紙CBQ(Children’s Behavior Questionnaire)をもとに、IGSが実用性を高めて開発した現代版を使用しており、気質を3分類・8タイプに整理します。新しい環境に慣れるまでに時間がかかる、初めてのことにも積極的に挑戦するといった、子どもによって異なる行動や反応の傾向を把握できるのが特徴です。

すべての家庭が同じアンケートに回答するため、出身園にかかわらず、入学予定の子ども全員の気質を同じ指標で横並びに把握できます。学校は、どの気質タイプの子どもが学年に何人いるかという分布を入学前に確認でき、気質の傾向が特定の学級に偏らないよう配慮した学級編成に生かせます。

レポートは学校向けと保護者向けの2種類です。学校向けには気質タイプや特性サマリーに加え、先生向けの「声かけ例」が記載されています。データとレポートとして残るため、担当の先生が替わっても校内で引き継げるほか、日々の関わりや個別の保護者面談まで、「家庭と学校をつなぐ共通の言葉」として幅広い場面で活用できます。

▲「First GROW」保護者向けサマリー(サンプル)
▲「First GROW」保護者向けサマリー(サンプル)

摂陽小学校での実証:入学前の2月にデータを取得

摂陽小学校には、入学してくる子どもたちのことを入学前からもっと知り、受け入れの準備に生かしたいという思いがありました。引き継ぎで一人ひとりの様子は伝わってくるものの、学年全体の傾向をつかむには十分とはいえず、入学後に学級ごとの雰囲気に偏りが生じることもあったといいます。導入を決めた門間祐二前校長(現・伊丹市立南小学校 校長)は、「日頃子どもを一番よく見ている保護者視点の気質データを加え、児童の特性を多面的に理解することで、より適切なクラス編成につなげたいと考え、『First GROW』を導入しました」とねらいを語っています。

実証事業では、新1年生44名全員を対象に入学前の2月に気質データを取得し、3月に分析レポートが納品されました。レポートは、学級編成会議で子どもたちの気質バランスを確認する場面や、担任への引き継ぎに使われました。現場からは次のような声が寄せられています。

  • 新1年生担当教員:「これまでは片方のクラスは静か、もう片方は賑やかという偏りが出ることもあったが、今年度は両クラスとも雰囲気に差がなく、良いスタートを切ることができました」
  • 京見武男 校長(摂陽小学校):「入学前から子どもたち一人ひとりの気質を知ることができ、現場の大きな安心材料になりました」
  • PTA会長:「初めての気質診断は半信半疑でしたが、半年後の参観日では、我が子の行動の背景を理解していたからこそ、優しく寄り添うことができました」

研修・講演会の参加者アンケート結果

2026年8月24日、摂陽小学校で教育関係者向けの「気質理解研修」と、保護者・地域向けの講演会が開かれ、終了後に参加者アンケートが実施されました。いずれも5段階評価で、「強くそう思う」「そう思う」を肯定的回答として集計しています。研修参加者の回答者は40名(幼稚園・保育園14、小学校23、中学校1、その他2)で、研修前と比べた気づきや気質情報の活用への期待を尋ねた12項目全体の肯定的回答の割合は98.1%でした。主な項目の結果は以下のとおりです。

  • 「子どもの行動や特徴を『気質』という視点から捉えることへの理解が深まった」:肯定的回答100%(平均4.58点)
  • 「気質の違いを把握することは、一人ひとりの理解だけでなく、学級全体の特徴やバランスを捉えることにも役立つと感じた」:100%
  • 「気質の情報は、学級編成(クラス分け)を考える際の参考情報として活用できると感じた」:95.0%
  • 「家庭から得られる情報は、入学後の関わり方や保護者との面談・連携にも役立つと感じた」:100%(うち「強くそう思う」52.5%)
  • 「入学前から子どもの特徴を把握できることは、教員側の安心感にもつながると感じた」:100%

保護者・地域向けのアンケート(16名が回答)では、講演会の内容への満足度に全員が肯定的に回答し、うち「強くそう思う」が87.5%(平均4.88点)でした。「入学前から学校と家庭が子どもの特徴を共有しておくことは、入学後のより良い関わりにつながると思う」「今後、学校と家庭で子どもの特徴について継続的に共有していきたいと思う」の2項目にも、全員が肯定的に回答しています。

子どもの気質(変化しづらい特性)を保護者アンケートで可視化するサービス「First GROW(ファースト・グロー)」
子どもの気質(変化しづらい特性)を保護者アンケートで可視化するサービス「First GROW(ファースト・グロー)」

今後は自治体単位での導入も視野に

IGSは「First GROW」を、幼保小連携の場面で現場の知見に客観的なデータを加え、補完するツールとして活用してもらうことを考えています。就学前健診や入学前説明会の際に保護者に一斉に回答してもらえば、学校・保護者の負担なくデータを収集できるとしています。同社は自治体単位での導入を通じて、架け橋期の子どもたちの学校適応をより多くの地域で支援していく方針です。

出典:IGS株式会社