「提案した」「教えた」の先へ。相手の仕事から考える図解ガイドが無料公開

リクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑 智康)は、図解実践ガイド「なぜ、相手の仕事から考えるのか。」を無料で公開する。対象は、営業、管理職、育成担当者、製品・サービスの開発担当者、部門間の連携に関わる人。同社は980社・33.8万人の働く人のデータを基盤に、組織行動科学®の研究・教育開発を行っている。
提案書を出した。方法を教えた。仕様を満たすものを完成させた。担当する資料を引き渡した。それでも、その後の仕事が進まないことがある。ガイドが着目するのは、受け渡しや利用を伴う仕事では、自分の完了と成果の間に、相手が判断し、実行する過程があるという点だ。PDFはA4横・全10ページで、四つの仕事の比較、自分の目標や役割に目が向く理由、自社の実践記録と外部研究、開発の具体例、次の一件で使う確認方法をまとめている。相手の仕事を確かめることで、自分がするべきことを選び直すための資料と位置づけられている。

自分の「完了」と、相手が進められることを並べて見る
ガイドでは、営業・育成・開発・部門間連携の四つについて、「自分から見た完了」と「成果につながるために必要なこと」を並べて比較している。
- 営業:提案を提出した後に、顧客が導入するかを判断し、実際に使える条件が必要になる
- 人材育成:方法を教えた後に、本人が実際の場面で判断し、使えることを確かめる
- 開発:仕様を満たす製品・サービスが完成した後に、利用者が仕事で使え、困りごとの解消や実現したいことにつながるかを見る
- 部門間の連携:資料を引き渡した後に、次の担当者が必要な判断をして、着手できるかを確かめる
相手が次に何をするのかが分かると、提案に必要な情報、教える内容、開発する機能、引き渡す資料を見直す手がかりが得られる。相手が進められる条件は、仕事を始める前から確かめ、途中で試し、使った後の結果で見直す。あわせて、相手に起きた変化が自分たちの目標達成にどうつながるかも確かめる、という流れが示されている。

想像だけでなく、本人から情報を得る
「自分の目標を達成する」「タスクを終える」「役割を全うする」。こうした取り組みでも、相手の判断や実行まで見渡すことで、成果に必要な条件を確かめられるとガイドは示す。何を自分の仕事と捉えるかによって、必要だと思う情報や問いも変わり得るという。
同社が公開した7年間の実地検証の報告には、方法を伝えても、本人が知っている仕事の範囲で工夫・実行している場面が記されている。同社は、新しい方法が従来の成功経験に沿って受け取られる可能性を検討してきた。10か月の実践記録を扱った資料には、相手の利益や実行条件、提案後の停滞を確かめる経験を通じて、問いや判断基準、自分の関わり方を見直す様子があり、営業リーダー10名の報告にも、対話前の予想と、相手から聞けた事情に違いがあった例が記されている。
外部研究も参照されている。Epleyら(2004)の心理実験は、他者の見方を推測するときにも自分の見方が出発点となり、そこからの調整が十分にならないことがあると示した。Eyalら(2018)の25の実験では、相手の立場を想像するよう求めるだけでは、相手についての予測の正確さは一貫して高まらなかった。最後の実験では、直接対話して相手の情報を得る条件で正確さが高まっている。ガイドでは、相手の仕事についての自分の見立てを、本人から得た情報と照らし合わせる参考として紹介している。

開発と研修の例から見えること
利用者の仕事から仕様と優先順位を考える(架空例)
開発の例として取り上げられているのは、配送予定の変更を扱うサービスの架空の例だ。開発側が「予定を一覧できれば仕事が進む」と考えていても、利用者が実際に担うのは、変更の影響を確かめ、関係者に連絡する仕事かもしれない。そこで、最近の変更対応を一緒にたどってどこで判断や連絡が止まるのかを聞き、変更箇所と影響する相手を確かめられる試作品を使ってもらい、必要な判断や連絡に使えるかを確認する。利用者が進めたい仕事と、機能や仕様を結びつける考え方だ。なお、これは試作後の効果を検証済みの事例ではないと明記されている。顧客が得たい便益と、製品の設計属性・解決策を分けてニーズを整理・優先づけするGriffin・Hauser(1993)の研究も紹介しつつ、利用者の要望、開発側の見立て、実際に使った結果を照らし合わせることを提案している。
14名の研修で観察された、説明と作成経験の接点
取引先構成図の重要性を半年以上伝えてきた研修で、14名のメーカーの営業リーダーに実際に図を作成してもらったところ、必要性を理解し始め、対話の進め方が見えてくる様子が観察されたという。図を作る経験を通じて、これまで説明してきた内容が目の前の仕事と結びついた可能性があり、半年間の説明も下地になったという解釈を含めて、方法を知ることと実際に使う経験のつながりを考えている。ただし、これは講師の観察であり、説明と作成それぞれの寄与や、考え方の長期的な定着を測定したものではない。

次の一件で使う確認方法と資料概要
ガイドが勧めるのは、「提案した」「教えた」「作った」「引き渡した」一件を選び、相手は次に何をしようとしていたか、何がまだ分からないか、どこを一部変えて試すかを確かめることだ。使った後には、相手の判断・実行に起きた変化と、自分たちの成果、双方の時間・労力を見る。本人が試せる範囲、使える時間、相談する相手、担当者だけでは変えられない条件も一緒に決める。役割を柔軟に捉えることと業務成果の関係に仕事の裁量が関わっていたとするParker(2007)の職場研究を踏まえ、本人への働きかけと、職場が整える条件を併せて考える構成になっている。
- 資料名:なぜ、相手の仕事から考えるのか
- 仕様:PDF/A4横/全10ページ
- 対象:営業、管理職、育成担当者、製品・サービスの開発担当者、部門間の連携に関わる方
- 提供:無料
本資料は、同社が公開した実践記録と関連する一次研究を読み合わせた実務提案とされている。自社の実践記録としては、7年間の実地検証をまとめた報告(No.255)、10か月の実践記録を扱ったガイド(No.296)、営業リーダー10名の実践報告(No.333)を基にしており、主な外部研究はEpley et al.(2004)、Eyal et al.(2018)、Griffin & Hauser(1993)、Parker(2007)。研究の書誌と参照範囲はPDF末尾にも掲載されている。
出典:組織行動科学®︎












