ASEANの中高教員48名が来日へ 愛媛・宮崎・東京の学校で授業見学や生徒と交流――国際交流基金「日ASEAN中高教員交流事業」

国際交流基金(JF)は、ASEAN各国の中学・高校の教員を日本に招く「日ASEAN中高教員交流事業」を実施しています。11月には、東南アジアの教員等48名が愛媛県・宮崎県・東京都の中学・高校を訪れます。この事業では、日本の教員や生徒との交流を通じて教育現場の課題や知見を共有し、授業を通じた相互理解を深めることを目指しています。

2024年の開始以来、計203名が来日
この事業は2024年に始まりました。これまでにASEAN諸国から計203名の教員等が8回にわたって来日し、大分県、徳島県、福岡県、広島県、山形県、富山県、宮城県、愛知県の学校で交流を重ねています。
今回はインドネシアとカンボジアからの教員等22名が愛媛県と東京都の中学・高校を、タイ、ベトナム、ラオスからの教員等26名が宮崎県と東京都の中学・高校を、それぞれ訪問します。参加者は教育をテーマにした講義の受講、教育現場の視察、教員・生徒との交流を通じて日本の教育への理解を深めます。あわせて、互いの国が抱える教育・社会課題などについて意見を交わします。工科高校やチャレンジスクールなど特色ある都立高校の視察や、デジタル教材等を提供する企業への訪問も予定されています。

グループC:インドネシア・カンボジアの教員が愛媛へ
グループCの期間は2026年11月8日(日)~11月15日(日)です。参加対象はインドネシア、カンボジアの中等教育機関に所属する教員等計22名で、訪問地は東京都と愛媛県です。使用言語はインドネシア語とクメール語です。日程(予定)は以下のとおりです。
- 11月8日(日):参加者来日
- 11月9日(月):オリエンテーション、大日本図書株式会社、歓迎レセプション
- 11月10日(火):松山防災リーダー育成センター、旅館宿泊体験(愛媛県松山市)
- 11月11日(水):愛媛県立松山中央高等学校(愛媛県松山市)
- 11月12日(木):今治市立大西中学校(愛媛県今治市)
- 11月13日(金):都立六郷工科高校、ラップアップセッション
- 11月15日(日):参加者帰国
愛媛県立松山中央高等学校は、県内の公立高校では唯一、医療看護系コースを持つ普通科高校です。参加者は授業や部活動を見学し、生徒と交流しながら、日本の高校教育の特色や学校生活について理解を深めます。今治市立大西中学校では、特別支援学級を含む教育活動を視察し、多様な学習ニーズに対応する包摂的な教育の実践を学びます。さらに、全世代型・全組織対応の防災研修プログラムの作成と防災教育の実践で高い評価を得ている松山防災リーダー育成センターでは、防災教育に関する講話を受講し、先進的な取り組みや教育現場での危機管理の実践に触れます。

グループD:タイ・ベトナム・ラオスの教員らが宮崎へ
グループDの期間は2026年11月15日(日)~11月22日(日)です。参加対象はタイ、ベトナム、ラオスの中等教育機関に所属する教員および教育行政官等計26名で、訪問地は東京都と宮崎県です。使用言語はタイ語、ベトナム語、ラオス語です。日程(予定)は以下のとおりです。
- 11月15日(日):参加者来日
- 11月16日(月):オリエンテーション、株式会社ベネッセコーポレーション、歓迎レセプション
- 11月17日(火):飫肥城下町、和室宿泊体験(宮崎県日南市、宮崎市)
- 11月18日(水):私立宮崎学園中学・高等学校(宮崎県宮崎市)
- 11月19日(木):宮崎県立宮崎西高等学校・附属中学校(宮崎県宮崎市)
- 11月20日(金):都立大江戸高校、ラップアップセッション
- 11月22日(日):参加者帰国
宮崎学園中学・高等学校は、ユネスコスクールとしてESD(持続可能な開発のための教育)に取り組む私立の中高一貫校です。宮崎県立宮崎西高等学校・附属中学校は、STEAM教育やSSH(スーパー・サイエンス・ハイスクール)指定校として先進的な教育実践を行っています。参加者は各校の教育現場を視察し、日本の中等教育における特色ある教育活動や学校生活への理解を深めます。宮崎西高等学校では公開研究授業を参観し、授業研究の実践についても学びます。
文化体験も交え、多面的に日本を知る
このほか、旅館での宿泊体験や歴史文化施設の見学などを通じて日本文化への理解を深め、多面的な視点から日本への理解促進を図ります。JFは、この事業で育まれる日本とASEAN諸国の人的交流を土台に、世界的課題の解決に向けた国際協力や相互理解の推進に寄与するとしています。参加者が日本で得た知識や経験は、それぞれの教育現場で授業などを通じて次世代に還元され、将来的な日本・ASEAN関係のさらなる強化につながることが期待されています。
昨年度の参加者アンケートでは全員が「非常に有意義」または「有意義」と回答
JFは2025年度の事業報告パンフレットを配布中です。事業の背景、各プログラムのレポート、参加者の声がまとめられています。参加したASEAN教員へのアンケートでは、全員がプログラムへの参加を「非常に有意義」または「有意義」と回答しました。日本の教育や指導法を自国の教育現場に導入する可能性については、98名中87名が「非常に高い」または「高い」と答えています。
この事業は、JFが2024年から10年間にわたって展開する「次世代共創パートナーシップ-文化のWA2.0-」の一環です。ASEANを中心とするアジア諸国と互いの価値を認め合う包括的な人的交流プロジェクトで、アジアの中学・高校などで日本語を教える教師や生徒のパートナーとして人材を送る「日本語パートナーズ派遣事業」と、「双方向の知的・文化交流事業」を軸に、多層的な人的ネットワークの強化と、対象地域と日本との将来にわたる強い信頼関係の構築を目指しています。
出典:国際交流基金












