ナッジを仕事でどう使うか。リクエストがWeb解説「ナッジの現在地」を無料公開

組織行動科学®の研究・教育開発を行うリクエスト株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:甲畑智康)は、Nudge Product®のWeb解説「ナッジの現在地。使いどころと、確かめ方。」を無料で公開しました。同社は、980社・33.8万人の働く人のデータを研究の基盤にしています。この解説は、仕事の案内やサービスを設計する人に向けたものです。ナッジをどこで使うか、実行を支える条件は何か、使った後にどう確かめるかを整理できます。

「相談する」の入口を置くだけで終わらせない
解説が取り上げるのは、仕事の判断に迷ったときに社内の専門家へ相談する場面です。作業画面に相談先と「相談する」の入口を分かりやすく配置することは、ナッジとして考えられる工夫の一つです。ナッジとは、選択肢を残し、金銭的な条件を大きく変えずに、情報の見せ方や配置、初期設定などで行動を後押しする方法です。別の選択も容易にできることが重視されます。
ただし、実際に役立つには入口だけでは足りません。専門家が対応できる時間や、作業を離れて相談できる体制も必要です。また、どの段階で何を相談するとよいかを、仕事の例から学ぶ方法もあります。解説ではこの一場面を題材に、「選びやすさ」「実行できる条件」「自分で判断する力」の3つを比べています。そのうえで、使う人が困っている理由から、何を整え、どう組み合わせるかを考えられる構成です。

研究と自分の現場をつなぐ5つの問い
研究結果を読むときは、誰を対象に、何と比べ、何を測ったのかが手がかりになります。解説では、国内外の研究と公的資料を次の5つの問いに沿ってたどれます。
- 誰に、どの場面で、どれくらい役立つか:Szaszi et al.(2025)は、選択環境への介入の一般化に関する研究レビューです。平均効果だけで別の場面の結果を予測することの難しさを整理しています。解説では、使う人、届くタイミング、手順、測る結果の違いに注目し、成功例を自分の場面に移すときの確認点を考えます。
- 行動の結果と本人の納得は一致するか:Gerver et al.(2024)は、英国で行われたオンライン研究です。ナッジへの同意について、どう回答したかにかかわらず、全員に寄付額の初期設定を提示しました。同意した群と同意しなかった群で平均寄付額に有意差はありませんでした。一方で、同意しなかった群は反感が強く、幸福感が低いという違いがありました。同意は本人が選んだものなので、この比較は同意の因果効果を示すものではありません。行動の量と本人の受け止め方を分けて見るための材料として紹介されています。
- 続いた変化は、人と環境のどこに残ったか:Brandon et al.(2026)は、米国の家庭向け省エネ報告を使った38の実験を分析しました。その結果、住む人が替わった後も、元の住まいに削減効果の約半分が残っていました。この結果は設備などに変化が残ることと整合しますが、設備導入を直接確認したものではありません。解説はこの研究から、変化を続けるには道具や設備、配置にも目を向けるという視点を示しています。論文は The Review of Economic Studies に2026年2月20日にオンライン公開されたもので、解説は公開受理稿を参照しています。
- 選びやすさと考える機会をどう組み合わせるか:Herzog & Hertwig(2025)は、本人が自分の目標に沿って判断・行動する力を支える「ブースト」の総説です。行動の結果だけでなく、知識や技能が身につき、実際に使われたかを見る考え方です。すぐに選べる工夫と、自分で理由を考えられる機会の両方を検討できます。
- 現場の仕組みにどう組み込むか:OECD(2024)の実務指針LOGICは、行動科学を日常の政策立案に組み込むための原則をまとめたものです。企業で活用を考える場合も、担当者、使える時間、通常の手順、利用後に振り返る機会を具体化する手がかりになります。

一つの工夫を試し、使った後まで確かめる
Nudge Product®は、掲載した研究を踏まえ、次の4段階で試すことを提案しています。
- 本人が実現したいことを聞く
- 止まっている理由を確かめる
- 一つ変え、比較できる形で試す
- 使った後まで見る
専門家への相談の例では、案内を変えた後の相談件数、助言を得て仕事が進んだか、本人や専門家の負担を、それぞれ分けて確かめます。たとえば相談の後に、同僚へ説明するための図を描く人がいれば、その目的を聞きます。必要に応じて図のひな形を試すなど、使う人の工夫から新しい役立ち方を考えることにもつなげます。
サイトにある「設計メモ」では、場面、見直す点、工夫、確かめ方を選び、一枚にまとめられます。研究ページには、各研究の結果、そこから言える範囲、実践への提案、原典へのリンクが掲載されています。今回10件が加わり、42件の研究・公的資料を閲覧できるようになりました。

Nudge Product®とリクエスト株式会社について
リクエスト株式会社は、8つの研究機関を通じて組織行動科学®の研究と実践に取り組んでいます。Nudge Product®は、ABA Operations Research®センターを母体とする取り組みです。外部の研究を、環境・道具・体験の設計と、試作・検証へつなげています。同社は2020年10月2日に設立され、所在地は東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目4Fです。解説の内容、職場やサービスでの活用、試作・検証、取材に関する問い合わせを受け付けています。
出典:組織行動科学®︎












