日本美術・工芸を世界へ伝える「人」を育てる――東京美術倶楽部「KOGEI GENE」とマーストリヒト大学が「Executive Study Programme」を始動

株式会社東京美術倶楽部が推進する人材育成プロジェクト「KOGEI GENE」と、オランダのマーストリヒト大学が、日本美術・工芸の国際的な発信を担う次世代人材を育てる「Executive Study Programme」を始動します。参加するのは「KOGEI GENE」のメンバー10名です。2026年11月に京都で導入プログラムを行い、2027年3月にはオランダで、マーストリヒト大学での研修や、世界有数のアートフェアであるTEFAF マーストリヒトの訪問などを組み込んだ実践的なプログラムを実施する予定です。
作品を紹介するだけでは伝わらないものを伝えるために
日本の長い歴史の中で育まれてきた美術・工芸は、優れた作品や卓越した技術を海外に紹介するだけでは、その背後にある歴史や思想、美意識まで十分に伝わるとは限りません。そこで求められるのが、作品を研究・解釈して国際的な文脈の中で伝えるとともに、美術館、大学・研究者、ギャラリー、コレクター、アートフェアなどを結び、継続的な関係を築いていく人材です。
「KOGEI GENE」は、日本の美術・工芸を単に海外へ紹介するのではなく、その背景を国際的な文脈の中で捉え直し、新たな理解や評価へとつなげる人材の育成を掲げています。国内での講義、作品研究、展示、プレゼンテーションに加え、海外の文化機関、大学、専門家、アートフェアとの交流を通じて、国際的な視点と実践力を養う取り組みです。今回のプログラムでは、そのために必要な国際的な視点や専門知識を実践を通じて学び、国際的なネットワークを構築して、参加者それぞれの活動や発信へとつなげていきます。
連携するマーストリヒト大学は、約23,000人の学生と4,500人以上の教職員を擁する、オランダで最も国際性の高い大学です。革新的な教育モデルや国際性豊かな環境、研究・教育における学際的なアプローチを特徴としています。
講義と現場を往復する実践型のカリキュラム
プログラムでは、国際的なアート・エコシステムに関する学術的な講義、専門家との対話、作品を題材にしたプレゼンテーション、欧州の文化機関やアートフェアの訪問などを通じて、次のような視点を身につけます。
- 日本美術・工芸を国際的な文脈の中で位置づけるための研究と解釈
- 作品の歴史的・文化的背景を海外の観客へ伝える方法
- 美術館、学術、ギャラリー、コレクター、市場の関係
- 国際的な評価を形成する専門性、信頼、来歴、展示、コミュニケーション
- 日本と欧州の文化機関・専門家との継続的なネットワーク構築
知識の習得にとどまらず、参加者自身が作品の国際発信戦略を考え、専門家からのフィードバックを受けながら具体的な活動へと落とし込んでいく点が特徴です。
第一段階:2026年11月、京都での導入プログラム
導入プログラムは2026年11月3日(火)〜6日(金)に京都で行われます。参加者10名は、マーストリヒト大学やゲストスピーカーによるセッションを通じて、欧州のアート・エコシステムや国際的な美術市場への理解を深めます。さらに、11月6日(金)から8日(日)まで開催される「工+藝」京都 2026の出展作品を題材に、作家と作品を海外のコレクター、美術館・博物館、研究者、ギャラリー、観客へどう紹介するかを検討。作品の歴史や技術に加え、背景にある思想や美意識、現代的な意義を整理し、国際発信に向けたプレゼンテーションに臨みます。この導入プログラムは、2027年3月のオランダでの研修に向けた準備と位置づけられています。
第二段階:2027年3月、オランダでの研修とTEFAF マーストリヒト訪問
2027年3月には参加者10名がオランダを訪れ、海外研修を行います。マーストリヒト大学では、講義や専門家との対話を通じて、研究、展示、批評、流通、市場といった領域が互いに関わり合いながら、作品の文化的・美術史的価値や国際的な評価が形づくられていくプロセスを学びます。あわせて訪問するTEFAF マーストリヒトは、世界各国のギャラリー、コレクター、美術館関係者、研究者などが集う国際的なアートマーケットの現場です。作品がどのような文脈で紹介され、その価値がどう伝えられ、評価へとつながっていくのかを実地で学び、大学で得た学術的な視点と行き来させながら、日本美術・工芸を世界へどう位置づけ、伝えていけるかを考える機会とします。
継続的な国際交流の基盤づくりへ、11月5日に京都で記者発表
このプログラムは一度限りの研修ではなく、参加者が得た知識や視点、ネットワークをそれぞれの活動に生かし、日本美術・工芸への国際的な理解を広げる具体的な企画や発信につなげることを目指しています。東京美術倶楽部、KOGEI GENE、マーストリヒト大学をはじめ、日本と欧州の文化機関・専門家の継続的な交流を促し、長期的な教育・文化交流の基盤を築いていく方針です。
始動にあわせて、2026年11月5日(木)12:30から、ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts/ROKU Suiteで「KOGEI GENE Executive Study Programme 記者発表」が開かれます。東京美術倶楽部/KOGEI GENEがプロジェクトの背景と目的を説明し、マーストリヒト大学のRachel Pownall氏がプログラムの内容や2027年3月のオランダでの研修を紹介します。TEFAFからはPaul van den Biesen氏が登壇し、TEFAFマーストリヒトの国際的な位置づけや、参加者がアートフェアの現場に触れる意義について語ります。KOGEI GENE参加者10名の紹介や、日本美術・工芸を国際的な文脈の中でどう伝え、新たな理解や評価につなげていくかをめぐる意見交換も予定されています。
- 主催:東京美術倶楽部/KOGEI GENE、マーストリヒト大学
- 登壇者:中村 純(東京美術倶楽部 代表取締役社長)、Rachel Pownall(マーストリヒト大学 アート&ファイナンス (Arts and Finance) 教授)、Paul van den Biesen(TEFAF コレクター&ミュージアム部門ヘッド)、KOGEI GENE 10名
- 協力:ROKU KYOTO, LXR Hotels & Resorts、ザ・プリンスギャラリー 東京紀尾井町, ラグジュアリーコレクションホテル
- 参加・取材申し込み:会場の都合で定員に限りあり。11月3日(火)17:00までに、東京美術倶楽部 KOGEI GENE事務局(担当:李、contact@kogeigene.com)へ「ご芳名・媒体名・ご連絡先・参加人数」を明記してメールで申し込み
東京美術倶楽部は明治40年(1907)4月の設立以来、120年近くにわたり、日本に伝来した美術品や日本で生み出された美術品を受け継ぎ、未来へと継承する志を持つ美術商の団体です。江戸時代から続く老舗の美術商をはじめ、古美術、茶道具、近現代美術、刀剣など幅広い分野の専門家が所属し、多様な催しの企画・開催を通じて、受け継がれてきた美の精神を次代へ伝えるとともに、新たな芸術表現の探求にも取り組んでいます。
出典:株式会社東京美術倶楽部











